塗装を知ろう!(2)-塗料の種類(概要)
株式会社オイカワ美装工業 IT・制作事業部長の、佐藤です。
部長と言いつつ、実はまだ入社したばかり。
ということで、これまで長年全く違う世界(グラフィックデザインやウェブデザインなど)で働いていた塗装業界初心者の私が、会社の先輩に伺った話や自分で調べたことなどを書いていくシリーズの第2回目です。
塗料の種類は多い!
塗装をする際には塗料を使いますが、いつでもどんな時でも同じ塗料を使うわけではありません。
塗料には実に多くの種類があって、
(1)塗装をどんな目的で行うか
(2)どのような材質に塗るのか
によって、使い分けなければなりません。
(1)の塗装の目的については前回の記事で、
- 保護
- 美観
- 環境改善
の3つが主にあることを見てきましたが、たくさん種類がある塗料の長所と短所を的確に把握して、最も目的に合った塗料を選ぶのが、私たち塗装会社の最初の、そしてもっとも大切な仕事の一つとなります。
ただしその選択にあたっては、そもそも根本的な性能の良し悪しや、塗料の開発に使われている技術の新しさ、またお客様のご負担に直接関わる生産コストなど、さまざまな事情を考慮する結果として、実際に現場で選択肢に挙がる種類はそれほど多くないのが実情です。
塗料の種類(概要)
塗料のおおまかな種類は、
- その塗料がどんな成分でできているか
- 施工現場でどのような使い方をするか
によって分けられます。
まずこの種類に当てはまる商品銘柄を選び、その後に塗装部位それぞれに合った色を選んでいくことになります。
では、その種類を具体的に見ていきましょう。
1.成分による分類
屋根・外壁塗装に主に使用される塗料の、成分による分類は概ねこのようになります。
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
- 無機塗料
上記のうち、上の4つ(1.アクリル塗料、2.ウレタン塗料、3.シリコン塗料、4.フッ素塗料)はどれも合成樹脂を用いた有機塗料です。
以下、ざっくりと解説します。
1.アクリル塗料
アクリル系合成樹脂のみを成分とするものですが、以下の3.シリコン、4.フッ素などの開発が進んだこともあり、現在ではほぼ使われていません。
3.シリコン塗料、4.フッ素塗料
主成分となる合成樹脂にそれぞれシリコン樹脂、フッ素樹脂を加えて耐久性等を上げたものですが、3.シリコンは歴史が長く、4.フッ素はより新しい技術で作られたもので、耐久性で比較すると
4.フッ素 > 3.シリコン > 1.アクリル
という感じになります。
2.ウレタン塗料
名前の通り、ウレタン系樹脂を主成分とした塗料です。
成分の特性上仕上がりの光沢などが美しく、柔軟性から塗り場所を選ばないなどのメリットはあるのですが、耐久性の点で上記の他の塗料より劣ってしまうのが特徴で、そのため屋根・外壁塗装の現場では採用される機会が少ないものとなっています。
5.無機塗料
上記1.~4.までの有機塗料と異なり樹脂成分が含まれておらず、セラミックやガラスなどの無機物が主成分の塗料です。
樹脂は劣化の原因になるため、これが含まれていない無機塗料は(それ以外の)有機塗料と比較してより耐久性の高いものとなっているのが大きな特徴です。
2021年現在、一般に屋根・外壁塗装工務店が最も推奨することの多いのが、この5.無機塗料です。
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その他にもそれぞれの種類に細かくメリット・デメリットがあるのですが、それらは今後また各々の詳細についての記事で細かく見ていくことにして、今回は成分によって大まかに上記のような種類の塗料があるということだけ理解しておくことにします。
2.使い方による分類
塗料は、上の1.の成分による種類の違いから、さらに施工現場での使い方によって2つ、種類が分かれます。
分類Ⅰ・水性/溶剤
水で薄められるタイプと、溶剤(シンナー)を使って薄めるタイプの違いです。
これは、私たちが普段使う文房具の水性マジックペン、油性マジックペンをイメージするのが良いかも知れません。
水性塗料は扱いやすく溶剤塗料と違って臭いもないため周囲の環境にもやさしいのですが、塗布する材質によってはうまく塗膜が作れなかったり、施工のタイミングが気温や湿度の変動の影響を受けてしまうというデメリットがあります。
一方溶剤塗料はシンナーを用いるため強い臭いがあるのが特徴ですが、塗布する素材や施工の季節などに左右されにくく、耐久性の高い塗膜が作れるのが特徴です。
分類Ⅱ・1液形/2液形
塗料単体で使用できるものを1液形、主剤に硬化剤を混ぜて使うものを、2液形と言います。
主剤と硬化剤の2種類を使用する、というところから分かる通り、2液形は耐久性や汎用性、保存性などの点で1液形より優れているというメリットがあるものの、1液形と比較するとコストが高い、混ぜたらすぐに使わなければならないなど使用難易度が高い、等のデメリットもあります。
そして、この『2.使い方による分類』の項目はそれぞれの種類が重複しないため、全部で
- 水性の1液形
- 水性の2液形
- 溶剤の1液形
- 溶剤の2液形
という、4種類が存在することになります。
例えば、同じ2液形の塗料でも主剤と硬化剤を混ぜ合わせた後に水で薄めるものと、溶剤で薄めるものの2種類の塗料が存在するということです。
まとめ
さて、ここまで塗料の種類について見てきました。
2種類の分け方があることが分かったわけですが、全てまとめると『1.成分による分類』で挙げた種類の一つ一つに対して『2.使い方による分類』で挙げた種類が存在するので、計算上は全部で5×4=20種類もの分類がある、ということになります!
まとめると、こんな感じになります。
※なお、今回の記事では私などのような初心者にとって分かりやすいように単純化しており、実際は各々個別の塗料商品でこれらに当てはまらないものもあったりしますので、そこはご了承ください。
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塗料の分類が、なんとなく分かりましたね。
次回以降は今回分類した項目の一つ一つについて、丁寧に見ていこうと思います。
今回は、ここまでです。
それでは!